保険積立金とは|仕訳と取り崩しのタイミング、解約返戻金との違いと決算書の見方

保険積立金は、会社が払った保険料のうち、損金にせず資産として計上している部分を表す勘定科目です。決算書の貸借対照表で「保険積立金」や「前払保険料」として載っている金額は、将来、解約返戻金や満期保険金として戻ってくる見込みのお金の、帳簿上の金額です。

この記事では、保険積立金が計上される場面、取り崩すときの仕訳、決算書を見るときの注意点を解説します。

目次

保険積立金が計上される主な場面

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保険の種類資産に計上する部分よく使われる科目
養老保険(受取人がどちらも会社)保険料の全額保険料積立金
養老保険(死亡は遺族・満期は会社)保険料の2分の1保険料積立金
終身保険(受取人が会社)保険料の全額保険料積立金
定期保険・第三分野保険(2019年7月8日以後の契約で最高解約返戻率50%超)最高解約返戻率に応じた割合前払保険料

※科目名は会社によって異なり、「保険積立金」「保険料積立金」「前払保険料」などが使われます。2019年7月8日以後の定期保険などで資産に計上する部分は、国税庁の資料では「前払保険料」として扱われています(国税庁 No.5364-2)。

保険積立金の仕訳

保険料を払ったとき

受取人がどちらも会社の養老保険で、年間保険料が100万円の場合です。

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借方金額貸方金額
保険料積立金100万円普通預金100万円

取り崩すとき

保険積立金は、解約・満期・保険金の支払いなどで契約が終わったときに取り崩します。受け取ったお金との差額は、雑収入(益金)または雑損失(損金)です。保険積立金が800万円の契約を解約し、解約返戻金が1,000万円だった場合は、次のようになります。

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借方金額貸方金額
普通預金1,000万円保険料積立金800万円
雑収入200万円

2019年7月8日以後の定期保険などの前払保険料は、契約が続いている間も、保険期間の後半などに決まった期間で少しずつ取り崩して損金にします。途中で解約した場合は、その時点で残っている額を取り崩します。パターン別の仕訳は法人保険の解約の仕訳と注意点で解説しています。

保険積立金と解約返戻金は一致しない

帳簿の保険積立金は「払った保険料のうち資産にした額」で、いま解約したら戻ってくる解約返戻金とは別のものです。両者の差は、解約したときに雑収入や雑損失として表に出ます。

  • 解約返戻金 > 保険積立金:帳簿に表れていない「含み益」がある。解約すると益金が出る
  • 解約返戻金 < 保険積立金:帳簿上の資産が実際に戻る額より大きい「含み損」がある。解約すると損金が出る

加入して間もない保険は、解約返戻金が保険積立金より少ないことがよくあります。いまの解約返戻金は、保険会社から届く通知や問い合わせで確認できます。

決算書を見るときの注意点

契約ごとに残高を管理する

保険積立金は、契約ごとに金額と内容が違います。複数の契約をまとめて「保険積立金」として計上していると、解約のときにどれだけ取り崩せばよいかがわからなくなります。契約ごとの明細(証券番号、契約日、資産計上額の累計)を作っておきましょう。

金融機関の見方

保険積立金は貸借対照表の資産ですが、金融機関が融資の審査で会社の実態を見るときは、帳簿の金額ではなく、解約返戻金の額で評価し直すことがあります。含み損が大きいと、実態の純資産が帳簿より小さく見られる場合があります。

出口を把握しておく

含み益が大きい保険を解約すると、その年に大きな益金が出ます。解約や満期の時期を把握し、役員退職金の支払いなどと合わせて考えておくことが大切です。考え方は法人保険の出口戦略をご覧ください。

まとめ

  • 保険積立金は、払った保険料のうち資産として計上している部分
  • 解約・満期・保険金の支払いで契約が終わったときに取り崩し、差額を雑収入または雑損失にする
  • 帳簿の保険積立金と、いまの解約返戻金は一致しない
  • 契約ごとの明細を作り、含み益・含み損と出口の時期を把握しておく

よくある質問

保険積立金とは何ですか?

会社が払った保険料のうち、損金にせず資産として計上している部分を表す勘定科目です。受取人が会社の養老保険や終身保険の保険料などが該当します。

保険積立金と前払保険料の違いは?

どちらも保険料のうち資産に計上する部分です。養老保険や終身保険では「保険料積立金」、2019年7月8日以後の定期保険などで資産に計上する部分は「前払保険料」と呼ぶのが一般的です。前払保険料は、保険期間の後半などに決まった期間で取り崩します。

保険積立金はいつ取り崩しますか?

解約、満期、保険金の支払いなどで契約が終わったときです。受け取ったお金との差額を雑収入または雑損失にします。

保険積立金は解約返戻金と同じ金額ですか?

同じではありません。保険積立金は帳簿上の金額で、解約返戻金はいま解約したら戻ってくる金額です。差額は、解約したときに雑収入または雑損失になります。

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「決算書の保険積立金がどの契約のものか整理したい」「保険の内容を見直したい」という方は、お気軽にご相談ください。含み益や税額の計算は、顧問税理士にご確認ください。オンラインで全国から相談できます。

参考資料

この記事を書いた人

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、宅地建物取引士、保険募集人。銀行勤務を経て、FPとして経営者の相続・資産・保険の相談に従事。2025年に相続専門の行政書士事務所を開業し、相続専門サイト「横浜青葉相続遺言相談センター」も運営。役員退職金・事業承継・法人保険の税務を、国税庁などの一次情報にもとづいて解説しています。

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